塗装治具によるコスト削減戦略：工程短縮と塗料ロス削減を実現するために

ワークが不安定な状態では、霧化エアーの勢いや搬送時の振動でワークが動いたり落下したりします。また、塗りたての塗料が擦れることで跡が残り、塗装不良の原因となります。
確実な固定によってこれらの問題を防止できます

前処理、除塵、塗装、乾燥などの各工程間で、ワークに直接触れることなく搬送するためには塗装治具が不可欠です。

塗装してはいけない箇所への塗料付着を防ぐために「固定+マスキング」の複合機能をもつ治具が活用されます。特にネジ穴などはハンガーフックで固定しながらマスキングするのが一般的です。

ワーク間の隙間は塗料粒子の無駄を生みます。
可能な限り間隔をつめて配置し、複数箇所で固定することでワーク同士の間隔を保ちます。

立体的な形状のワークでは影ができ、塗料が到達しない箇所が発生します。
一般的に「ワークの高さの約３倍程度」の間隔を空けることで防止することが可能です。

スプレーガン距離の差によって塗膜の仕上がりが変わり外観不良の原因となります。
ゆず肌などの凸凹にならないよう、すべてのワークを同一距離に配置することが重要です。

塗装面数が増えると、塗装作業に時間がかかり生産効率が下がります。
反転（網返し）回数を最小限に抑えることで、作業時間の短縮と塗料消費の削減を同時に実現できます。

「すぐに修理」が基本です。
「知恵と工夫の塊」である治具の修理が困難な場合は、汎用品と脱着可能なアタッチメントを組み合わせた設計を採用することで、メンテナンス性を向上させることができます。

塗膜の剥離は最も重要なメンテナンス作業です。
「溶剤剥離」や「ブラスト乖離」といった剥離方法がありますが、いずれも以下の課題があります。
・委託先の選定が困難
・最適な剥離方法の判断が困難
・剥離作業中の治具不足
・治具の破損や変形リスク
・時間やコスト、環境負荷の面