粉体塗装における代表的な不良例とその対策



粉体塗料は有機溶剤を含んでおらず塗着しなかった塗料は回収し再利用できるなど非常に便利な面があり環境に優しく、SDGs目標貢献への側面からも注目をされている塗料の1つとなります。
また環境面に限らず、1回で膜厚塗装が可能かつ強靭な塗膜を形成することができる点からも優れた材料だと言えます。
しかし、塗料の保管方法、塗装機器や塗装工程などが適切に管理されていないと製品不良へと繋がるなど、本来の良さが発揮できないため塗料や塗装に関わる管理を適切におこなうことが重要となります。
その適切な管理が出来ていない場合に発生する代表的な例が以下となります。
粉体塗料保管方法が原因で発生する代表例
発生する不良例 | 症状 | 対策 |
ブロッキング | 粉体塗料の容器内で塗料である粉同士が付着し塊状となる | ・分割保存 ・保管温度に注意し、30℃以下の屋内にて密閉保存 ・残った塗料が直接水分に触れないように密閉保管 ・搬送エアーや塗料に水分、油分を混入させない |
塗装機器が原因で発生する代表例
発生する不良例 | 症状 | 対策 |
スピット | 塗膜表面にブツ状の小さな塊が凸状に発生 | ・流動エアー圧を下げない ・新粉、回収粉の比率を確認し、回収粉の粉度分布を確認 ・流動、搬送エアーの温湿度を高くしない ・除電装置、除油器の設置 ・塗装ガン先端をエアブロー清掃する |
コンタミ | 他色の塗料が混入し、混入した色が斑点状に表れ、塗膜へ色ムラとハジキが発生 | ・搬送中にゴミを落下させない ・塗料タンク、ブース、ホース、塗装ガンの清掃を行う ・前処理の影響がないか、塗装前の被塗物の状態を確認する |
静電反発 | 過剰に塗膜が付着した箇所へ帯電した塗料粒子が互いに反発することで、塗膜表面へ凹みが発生 | ・ブースや塗装機、治具等のアースを十分とる ・被塗物の塗装ガンとの距離を適性距離へ調整する ・塗装が推奨している塗膜内となるよう塗膜管理を行う |
塗装工程に原因があり発生する代表例
発生する不良例 | 症状 | 対策 |
額縁 | エッジ箇所、尖った箇所の塗膜が厚くなる | ・吐出量を落とし調整する ・自動塗装機の開始、停止点のズレを発生させない ・被塗物の裏側へ塗料が異常に回り込んでいないか確認 |
密着不良 | 塗膜が浮き上がり、剥離する「素地剥離」と「塗膜間剥離」が発生 | ・焼付条件を見直し、焼き甘で密着不良にならないようにする ・被塗物の素材により密着性が異なるため、前処理~焼付炉の管理基準を見直す ・ブース内でホコリや油等が浮遊しないよう、ブース周辺の清掃やアウターブースを設置する |
ゴミブツ | 塗膜に異物が混入し、その異物が塗膜より頭首し、その突起状に発生 | ・塗料をろ過し、異物の除去を行う。 ・コンベア、吊具から汚れが落下しないよう清掃をする ・ブロッキングによる発生も考えるため、長期保管した塗料は使用しない |
ピンホール、へこみ、はじき | 塗膜表面にクレーター状の凹み、その中心部をピンで刺したような凹みが発生 | ・異物塗料や異物混入がないよう注意を払う ・被塗物に水や油が残らないよう、脱脂などの前洗浄強化 ・エアドライヤーやオイルフィルターを設け、エアーの水と油を除去する |
上記のような現象が発生している場合には対策法を参考に見直して見てください。
「対策や見直しをしても改善されない」といった場合には、皆さまのお悩みを解決する取組みを行っておりますので、
ご相談やお困り事についてお気軽にお問合せ下さい。