粉体塗料の塗装方法

粉体塗料の塗装方法
粉体塗料の塗装方法

粉末状の塗料が塗膜になる仕組みとは?

粉体塗料は加熱することにより溶けて液体状になり、被塗物(ワーク)表面に広がります。

さらに熱を加えて乾燥させることにより、塗膜として硬化します。

 

ちょうど「チョコレートが熱で溶けていく状態」というと、わかりやすいかもしれません。

熱により粉体塗料が溶け、塗膜となるイメージ

>熱により粉体塗料が溶け、塗膜となるイメージ

塗料の種類によって焼付温度は異なりますが、塗膜を硬化させるための温度条件=焼付温度条件(物体温度×時間)を確実にとることが必要です。

 

温度が高すぎ、時間が長すぎると「オーバーベイク(焼過ぎ)」となります。

温度が低過ぎ、時間が短いと「焼きアマ」となり、どちらも塗料の性能が発揮できません。

粉体塗料の塗装方法


粉体塗料の塗装方法は、溶剤塗料とは大きく異なります。

 

粉体塗料は常温では粉末状態であるため、そのままではワークの表面に付着しません。

そこで、主に静電気の力を利用して塗装を行います。

 

一般的に粉体塗装の主流となっているのは「静電塗装スプレーガン」を用いて塗装する方法です。

「コロナ放電方式」と「摩擦帯電方式(トリボ放電方式)」の2種類がメインで使われており、それぞれ異なる方法で静電気を発生させ活用しています。

コロナ放電式


静電塗装スプレーガンを用いる塗装で最もポピュラーな方法です。

塗装機の高電圧電極とワークの間に電界を生じさせ、そこへ空気で搬送された粉体塗料を吹き付けます。

電界に沿って帯電された粉体塗料がワークに付着します。

コロナ放電方式 塗装イメージ

>コロナ放電方式 塗装イメージ

この方式のメリット:

  • 塗装条件の変更・調整がコントロール可能である。
  • 摩擦帯電方式と比較して塗着効率が高い。
  • ほとんどの粉体塗料に適応できる。
  • 湿度の影響を受けにくい。

デメリット:

  • 塗料の凹部への入り込みが弱い。(ファラデーケージ硬化による)
  • 静電反発による肌荒れが発生しやすい。
  • 電解の発生により、周辺のホコリやゴミ・異物等も吸着させてしまう。

があげられますが、最近の技術革新により改善されています。

摩擦帯電方式(トリボ放電方式)


摩擦帯電方式いわゆるトリボ放電方式では、粉体塗料を特殊な荷電素材(PIFE)と接触させ、摩擦により粉体塗料自体に静電気を帯電させます。

帯電した粉体塗料がワークに付着する仕組みです。

摩擦帯電方式(トリボ放電方式)塗装イメージ

>摩擦帯電方式(トリボ放電方式)塗装イメージ

この方式のメリット:

  • 塗料自体が帯電しエアーを送りこめるため、凹部への入り込みが良い。
    凹凸がある部品にも均一な塗装が可能。
  • 静電反発が生じないため、塗膜の肌感が良い。
  • 高電圧用の電源を必要としない

デメリット:

  • 塗料により帯電量が変わるため、専用の粉体塗料を使用する。
  • 湿度の影響を受けやすい。

どちらの方式でも、ワークは必ずアース(設置)されていなければなりません。

アースが不十分だと静電気による塗料の付着ができなくなります。

 

静電気を利用しない特殊な方法として「流動浸漬」もあります。

これはワークを加熱し、粉体塗料が流動化している槽に浸して塗装する方法です。

 

加熱されたワークの表面に粉体塗料が溶けながら付着する仕組みです。

これに静電塗装を組み合わせた「静電流動浸漬」方式もあります。

 

塗装方法のそれぞれの特徴を知ったうえで最適な塗装方法のご検討をお薦めします。

疑問点は、お気軽にNCCにお問い合わせください。

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