なぜ塗料は希釈する必要があるのか?
希釈用シンナーの役割と塗料との相性について


そもそも塗料に希釈は必要?

塗装前に塗料をシンナーで希釈することは、多くの現場で当たり前の作業として行われています。
なぜこの工程が必要なのでしょうか?
メーカーから出荷される塗料には、すでに40%前後のシンナーが含まれています。
しかし、この濃度ではスプレーガン塗装をする際には粘度が高すぎるため、塗装が困難もしくは塗装不良を起こす可能性があります。
そのため、塗装条件に合わせた追加の希釈作業が必要不可欠となるのです。
希釈用シンナーと洗浄用シンナーの違い
塗装で使用される有機溶剤は「希釈用シンナー」と「洗浄用シンナー」に大きく分類されます。
希釈用シンナーは塗料粘度を調整して塗装条件に合わせるために使用され、以下の重要な役割を担っています:
1.塗料の溶解
樹脂を均一に溶かし、安定した塗料状態を維持
2.乾燥速度の調整
気温や塗装環境に合わせ最適な揮発速度を確保
3.塗料粘度の調整
流動性・レベリング性を向上させ美しい塗膜を形成
4.電気抵抗値の調整
静電塗装の場合に必要
洗浄用シンナーは塗装機器や装置の洗浄専用に用いられます。
塗料とシンナーの相性(相溶性)とは
相溶性とは、2種類以上の物質が溶けて混ざりあった状態を指します。
反対に非相溶性とは、油と水のように2種類以上の物質が混ざり合わない状態です。
塗装する際に塗料とシンナーが適切に混ざり合っていないと、以下のような問題が発生します:
- 色ムラの発生
- 塗膜の形成不良
- 塗装品質の著しい低下
間違ったシンナー選択で起こる問題は?
「シンナーはどれも同じだから安いものでまとめよう」という考えは非常に危険です。
各塗料には適応するシンナーがあり、間違ったシンナーで希釈すると以下の反応が起こります:
1.塗膜品質の低下
希釈するシンナーの種類によって塗膜品質は大きく変化します。
2.凝集反応
不適切なシンナーを用いると、塗料の成分とシンナーの成分が反応して凝集を起こします。
3.溶解不足
樹脂塗料においては、完全に溶解しない場合があります。専用シンナーを使用していても、樹脂が完全に溶け切れていないケースは少なくありません。
具体的な塗料とシンナーの組み合わせ例
ウレタン塗料はラッカーシンナーや静電シンナーで溶解することはできません。
これはウレタン塗料の硬化剤成分である「ポリイソシアネート」がラッカーシンナーや静電シンナーに含まれているアルコールと相性が悪いためです。
同様に2液エポキシ塗料にもポリイソシアネートが使用されているケースが多いため、アルコールを含むシンナーでの希釈はおすすめできません。
一方で1液エポキシ塗料については、アルコールやグリコールが含まれていないと全く溶けない可能性が高くなります。
塗料とシンナーの相溶性について
アルコールを含むシンナー | アルコールを含まないシンナー | |
---|---|---|
ウレタン塗料 | 〇 | ✕ |
2液エポキシ塗料 | 〇 | ✕ |
1液エポキシ塗料 | ✕ | 〇 |
相性不良を疑うべき塗装不良
以下のような塗装不良が発生した場合は、塗料とシンナーの相性が良くないことが考えられます:
- 塗膜に粒々とした異物が付着している(ブツ不良)
- 色や光沢にムラがある(色ムラ不良)
- ツルっとした塗膜ではなくザラザラしている
- 塗膜が縞模様やまだら模様になる(色分かれ)
- スプレー塗装で塗料がミストにならず、糸状に垂れてくる(糸引き)
どんな塗料にでも溶ける万能なシンナーは存在しません。
各塗料に合った適切なシンナーを選定し使用することが、高品質な塗装を実現する第一歩となります。
現在お使いのシンナーでお困りごとがございましたら、お気軽にご相談ください!
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