クリーンルーム用掃除機の選び方


クリーンルーム用掃除機と普通の掃除機の違いは?
どんな掃除機がクリーンルームで使えるの?プロが解説

クリーン環境管理の四原則(持ち込まない、発生させない、堆積させない、除去する)の中で「除去する」ために清掃作業は重要な取り組みです。
しかし、使う清掃用具の選定を間違えるとゴミ・異物の発塵源になったり、集めているはずのゴミ・異物を更に撒き散らすことになってしまいます。
今回はクリーンルーム用掃除機の特徴やクリーンルームで使える掃除機のポイントについて解説します。
クリーンルーム用掃除機の特徴は?普通の掃除機との違い
クリーン化推進に携わる方なら、一度はクリーンルーム用掃除機を目にしたことがあるかもしれません。
あの大型で少し古臭く感じる、昔から変わらない独特な形状には実は意味があります。
普通の掃除機とは違うクリーンルーム用掃除機の特徴は以下の通りです。
床上30cm以上の排気口
床に堆積している異物を排気で再飛散させないために、上部排気構造にしています。
全方向排気
少しでも排気速度を下げるために、360度方向に排気を拡散させています。
排気フィルター搭載
排気速度を落とすと共に排気を極力クリーンにするために、HEPAフィルターやULPAフィルターを搭載しています。
上記をまとめると、排気口が上部にあり、HEPAフィルター全体から排気するタイプがオススメです。
普通の掃除機はクリーンルームで使用することができるの?
最近ではハウスダストや花粉・ダニ対策で、吸引力の優れたサイクロン式などの掃除機が市販されています。
コンパクトな設計で使い勝手が良く吸引力も強いことから、クリーンルームやクリーン環境でも使えそうですが、排気速度が速く、床面に近いところで排気をするなど、気流の乱れを起こす不向きな物が多いことが現状です。
ただ、先に説明したクリーンルーム用掃除機の特徴を抑えれば実はハンディタイプの掃除機でも十分に対応することが可能です。
下記の条件を満たすハンディ掃除機ならクリーンルームで使用することもできます。
HEPAフィルター搭載
クリーンルームの規格上、排気はHEPAフィルターを通すことが必須です。
排気方向、排気速度に注意
排気の向きは下方(床向き)ではなく横方向排気のモデルを推奨します。下方に排気してしまうと床に堆積した異物を再飛散させる可能性があります。
また、排気速度も極力低いものを選定しましょう。
クリーンルーム専用にする
上記条件を満たした上で、クリーンルーム専用に掃除機を用意しましょう。一般環境で使用したり保管ロッカーを共有したりするとせっかくの掃除機を汚染してしまいます。
ロボット掃除機はクリーンルームで使用することができるの?
最近、「ロボット掃除機はクリーンルームで使用できないか?」というご質問をいただきます。
確かに、設備を避けながら自動でクリーンルーム内を掃除してくれたら助かりますよね。
しかし、ロボット掃除機はクリーンルーム清掃に適していません。
ロボット掃除機は床面に限りなく近く、排気も床付近で行うため床に堆積した異物を再拡散させてしまいます。
そのうえ、ほとんどがHEPAフィルター未搭載のため排気もクリーンではありません。
NCCが行った実験では、ロボット掃除機では床付異物を除去しきれていなかったことからも、クリーンルームではロボット掃除機を使わないようにしましょう。