イオナイザーについて
|種類と特徴、使い方、メンテナンス方法
イオナイザーとは、空間にプラスとマイナスのイオンを作り出し、圧縮エアやファンで送風することで対象物、もしくは空間の静電気を中和し除電する機器です。
イオナイザーにはさまざまな型式や種類があります。
それぞれの異なる特徴を理解して、自社に適切なものを選び使用することが重要です。
イオナイザーの種類と特徴
イオナイザーには主に4つの種類があります。
- ファンタイプ
- ノズルタイプ
- バータイプ
- ガンタイプ
ファンタイプの特徴
ファンタイプは、その中でもさらに3つの仕様があります。
①天井部または作業工程上部に配置するオーバーヘッド式
②作業台面に据え置き使用するデスクトップ式
③組み立て自動機や検査装置等の装置内部に取り付ける小型ファン内蔵式
<オーバーヘッド式のメリット>
・高い設置位置
床や作業スペースに邪魔にならず、空間全体に均等にイオンを放出することが可能です。
・広範囲の加工点をカバー
広範囲にイオンを放出できるため、大きなスペースや複数の作業エリアをカバーすることができます。
<デスクトップ式/小型ファン内蔵式のメリット>
・局所的な除電に最適です。
・加工点に近く除電速度が速い特徴があります。
ノズルタイプの特徴
・除電と除塵、それぞれに対応できる
・空気速度が速く除電時間の短縮が可能
バータイプの特徴
・クリーンルームでも使用可能
・広範囲の除電が可能
イオナイザーのバータイプは、取り付け位置やイオン搬送方法によって下記のように分類されます。
①クリーンルームやブースのエアーフィルター下部に取り付けてイオンを搬送するタイプ
②イオン放出する針の近傍に、イオンを搬送する空気流を強制的に設けるタイプ
③フィルム加工やFPD工程において、広範囲を一気に除電するロングタイプ
ガンタイプ
・手持ちで使うことができ、現場で手軽。
・電源供給の不要なタイプ(エアー発電タイプ)も開発されており、コンプレッサーがあれば場所を選ばずに使える。
・除電と除塵を同時に行うことができる。
効果が弱いと感じたら|イオナイザーの適切な使い方
イオナイザーをしているのに、ホコリの付着が減らない!塗膜が反発して乗りにくい!ということはありませんか?
もしかしたら、イオナイザーが効果を発揮できずにいる可能性がありますので、下記の点を見直してみてください。
イオナイザーの付近に金属がある
除塵対象物の帯電が少ない場合、イオナイザーで発生させたイオンを引き付ける力が弱くなり、付近にある金属物へイオンが取られてしまいます。
イオナイザーと金属を20cmほど離しましょう。
樹脂等の絶縁体が何かに触れている
樹脂でできたフィルムやシート等の絶縁体を除電する際、対象物がアースされた金属や別の絶縁体に触れていると見かけ上は電位が下がり除電されているように見えてしまいます。絶縁体の除電時は対象物を浮かせましょう。
イオナイザーのイオンバランスが悪い
イオナイザーのイオンバランスが悪いと逆に静電気が発生してしまいます。自社の工程、製品にあったイオナイザーを使用することが重要です。
電極針の汚れ、劣化
一般的な電極針は空気中の汚れなどが付着するためそのままではイオンの発生量が減少します。そのため、定期的な清掃を行いましょう。
イオナイザーの定期メンテナンス方法
イオナイザーの電極針は使用し続けると汚れの付着や劣化によってイオンの発生量が減少していき、除電速度が遅くなったり除電不足が起きるなど問題を引き起こします。
また、ガンタイプなどエアーコンプレッサーを使用する場合、コンプレッサー内部の結露や油などによって逆に異物不良を引き起こす可能性もあります。
そのため、定期的なメンテナンスが必要です。
【電極針のメンテナンス】
通常の電極針は24時間の使用で約2週間に一度清掃が必要だとされていますが、使用環境により汚れ方は変わりますので自社の環境に合わせて清掃日を設けてください。
電極針の表面に付着した白い粉状の汚れを、基盤やカードリッジを外してから針本体を傷つけないように純水かアルコールを浸した綿棒やウエス等で拭き取ります。
【電極針の交換頻度】
電極針は使用頻度に応じて摩耗しますので、定期的に交換も必要です。特にプラス側とマイナス側で電極針の摩耗具合が異なるとイオンバランスが崩れますので、除電効果が落ちてきたと感じたら交換が必要です。
【そのほかのメンテナンス】
・ファンや給気口などエアーの供給部には、吸着された空気中の汚れなども堆積しますので、柔らかいウエス等で純水拭きかアルコール拭きを行います。
・気温変化が激しい日などは特にエアーコンプレッサー内部が結露しやすくなりますので、クリーンエアーの安定供給のためにはドライヤーやフィルターの設置が必要です。これらのドライヤーやフィルターも定期的にカートリッジを交換しましょう。