静電気対策_
2.実践!静電気対策の具体的手法

静電気対策_ 2.実践!静電気対策の具体的手法
静電気対策_ 2.実践!静電気対策の具体的手法

静電気対策—実践編

製造現場の見えない脅威と言われる静電気。人体からの静電気を防ぐ方法から環境的な対策、そして最終的な解決策まで、静電気の対策方法について具体的に解説します。

人体静電気対策—最も身近な発生源への対処法


人体帯電のメカニズム

人が歩行や動作をするたびに、靴底と床の摩擦によって静電気が発生します。
この時、靴底や床が電気を通さない絶縁体だと、本来地面に逃げるべき電気が人体に蓄積されてしまいます。
これが「誘導帯電」と呼ばれる現象です。

人体帯電

基本的な人体静電気対策

靴の導電化

JIS基準に準拠した静電気帯電防止靴を使用し、足から発生する静電気を床に逃します。静電靴の電気抵抗値は1.0×10⁵~1.0×10⁸Ω(10万〜1億オーム)と規定されています。

見落としがちな「中敷」「靴下」の注意点

厚手の中敷や靴下は、せっかくの導電性を阻害し、静電気対策を無効化してしまいます。極力薄めのものを選び、入室時には静電靴チェッカーで導通を確認しましょう。

床の導電化

導電性床を使用し、人体から床へ電荷を即座に逃がします。可燃性危険物を取り扱う現場では、床の漏洩抵抗値を1.0×10⁸Ω(1億オーム)以下に維持することが必要です。

衣服の導電化

JIS基準の静電気帯電防止作業服や導電繊維が縦線・格子状に織り込まれたクリーンウエアを着用します。

参考までに、以下のイラストは帯電列と呼ばれるものです。

衣類の材質によってプラス帯電しやすいもの、マイナス帯電しやすいものがわかるようになっています。

帯電列で離れているもの同士を着合わせると大きな帯電をします。衣類の組み合わせも重要です。

静電気が発生しやすい服装について

人体電位の見える化


人体電位測定器

人体電位測定器を使用することで、作業者がどの程度帯電しているかを数値で把握できます。
これにより対策の効果を客観的に評価し、改善点を明確化できます。
最新の人体電位測定器には、点検データのログ管理機能やドアロック連動機能も搭載されており、入室管理と連携した総合的な静電気管理が可能です。

絶縁体への対策アプローチ


樹脂やフィルムなどの絶縁体は、従来の接地(アース)による対策が困難です。
そのため、以下の手法が有効です。

1. 導電性材料への変更

 

具体例:塗装ブース周辺の養生材

塗装ブース周辺で塗料の付着防止などを目的に行う養生作業。
フィルムやシートにポリエレンなどの絶縁性を使用していると、導電床や導電性の壁にしていても意味がありません。
養生に使用する保護フィルムも導電性材料の入っている静電気対策品を選ぶことで、根本的な解決を図ることができます。

 

 

2. 等電位結合(ボンディング)

 

表面処理による一時的対策
素材に関わらず静電気対策ができる方法として:

 

  • アルコールなどで表面を拭き取る(効果は一時的)
  • 湿度を高くする
  • 水を撒く

 

これらは簡単にできる対策ですが、効果の持続性に限界があることを理解した上で使用する必要があります。

導体(金属)への対策アプローチ


1.アース接続

 

塗装工程のような有機溶剤を多く使用する現場では、金属製の作業台、容器、配管などはアースを取ることが基本になります。

 

 

2.等電位結合(ボンディング)

 

個別にアースする方法に加えて、アース接続された物に接続するボンディング(等電位結合)という手法があります。

アース線の抵抗は1000Ω以下を目安として接続しますが、最も重要なのはアース線の断線、外れ、接触不良や接続忘れをしないことです。
作業台などを移動した場合は「アース線も接続し直したか?」を必ず確認しましょう。

アース接続

環境的な対策アプローチ


適切な湿度管理によって静電気の発生を根本から抑制することができます。
一般的には相対湿度55〜65%が理想的です。
ただし、後述するイオナイザーを使用する場合は45〜55%に調整することが推奨されます。

最終的な解決策—イオナイザーの導入


なぜイオナイザーが必要なのか

 

人体対策や環境管理だけでは限界があります。
樹脂部品やフィルムなど、導電化できない絶縁体からの静電気は、従来の対策では完全に防ぐことができませんし、複雑な製造工程では、様々な要因で静電気が発生し続けます。

 

静電気除去装置(イオナイザー)は、正負のイオンを発生させて空気中の静電気を中和する装置です。
生産ラインや作業エリアに設置することで、ゴミ・異物の付着防止、機器の誤動作防止、作業者の帯電防止、製品品質の向上といった効果が得られます。

 

効果的なイオナイザーの選定具体的なメンテナンス手順などについてもご紹介しています。

ぜひご覧ください!

 

NCCでは、生産環境の調査やお客様に最適なクリーン環境の構築サービスを行っております。

クリーン環境の静電気対策に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。

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