クリーンルーム関連規格
ISO14644-1とISO14644-9
- ∨ ISO14644-1: クリーンルームと関連環境の分類および試験方法に関する基本規格
- ∨ ISO14644-9: クリーンルームの試験および監査に関するガイド
- ∨ SCPの概念について
- ∨ ISO 14644-1と14644-9の関連付けについて
クリーンルームは、微細な粒子や微生物を制御し、高品質な製品やプロセスを確保するための特別な環境です。
ISO14644シリーズとは、クリーンルームおよび関連コントロール環境に関する国際的な基準を提供するもので、その中でも「ISO14644-1とISO14644-9」が重要な役割を果たしています。
関連規格 ISO14644項目一覧
ISO番号 | 発行年 | 部数 | タイトル | 対応JIS番号 |
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ISO 14644-1 | 2015年 | 第1部 | 粒子数濃度による空気清浄度の分類 | JIS B 9920-1:2019制定 |
ISO 14644-2 | 2015年 | 第2部 | 粒子濃度による空気清浄度に関連するクリーンルーム性能を根拠付けるためのモニタリング | JIS B 9920-2:2019制定 |
ISO 14644-3 | 2019年 | 第3部 | 試験方法 | |
ISO 14644-4 | 2022年 | 第4部 | 設計、施工及びスタートアップ | |
ISO 14644-5 | 2004年 | 第5部 | 運転 | |
ISO 14644-7 | 2004年 | 第7部 | 分離装置(クリーンエアフード、グローブボックス、アイソレータ及びミニエンバイロメント) | |
ISO 14644-8 | 2022年 | 第8部 | 化学物質濃度による空気清浄度(ACC)の評価 | |
ISO 14644-9 | 2022年 | 第9部 | 粒子数濃度による表面清浄度の評価 | |
ISO 14644-10 | 2022年 | 第10部 | 化学的汚染による表面清浄度の評価 | |
ISO 14644-12 | 2018年 | 第12部 | ナノスケール粒子濃度による空気清浄度のモニタリングの仕様 | |
ISO 14644-13 | 2017年 | 第13部 | 微粒子及び化学分類に関する規定の清浄度を実現するための表面の清浄 | |
ISO 14644-14 | 2016年 | 第14部 | 浮遊微小粒子濃度による機器の使用に関する適合性の評価 | |
ISO 14644-15 | 2017年 | 第15部 | 浮遊化学濃度による機器及び材料の使用に関する適合性の評価 | |
ISO 14644-16 | 2019年 | 第16部 | クリーンルーム及び分離装置のエネルギー効率 | |
ISO 14644-17 | 2021年 | 第17部 | 粒子堆積速度のアプリケーション | |
ISO/TR 14644-21 | 2023年 | 第21部 | 浮遊粒子サンプリング技術 |
※ISO 14644-6:第6部 用語は、それぞれのISOで用語を定義へ
※ISO 14644-11 は欠番
ISO14644-1: クリーンルームと関連環境の分類および試験方法に関する基本規格
ISO14644-1は、クリーンルームおよび関連環境の分類と、それらのクラスごとに必要な試験方法について基本的な要件を規定しています。この規格は、環境内の粒子濃度のレベルや微生物の制御に関する指針を提供します。
クラス1が最高品質であり、クラス9が最低品質を示します。クリーンルーム内の空気中の粒子数に関する要件や、清浄度の確保に関する手順が明確に示されています。この規格に基づいてクラス分類されたクリーンルームは、産業や医療など多岐にわたる分野で利用されています。
ISO14644-9: クリーンルームの試験および監査に関するガイド
ISO14644-9は、クリーンルームの試験と監査に関するガイドラインを提供します。
この規格は、クリーンルームの性能評価や監査のための方法論を提供し、品質管理システムを向上させるためのツールとなります。特に、クリーンルームの適切な機能性評価や環境モニタリングの方法について詳細に取り扱っています。ISO14644-9は、クリーンルームの効果的な運用と管理を支援するための貴重なガイドとなっています。
ISO14644-9の中には『5.3 粒子濃度による表面清浄に関する一般的な情報』に下記の記載があります。
『一般に、気中微小粒子濃度と表面粒子濃度は関連している。この関係は、空気の乱流、付着率、付着時間、付着速度、空気中の濃度及び静電気などの表面特性といった多くの要因に左右される。粒子濃度による表面清浄度を測定する場合は、試験に影響する様々なパラメータ、及び表面特性を考慮することが望ましい。』
ISO14644-1では”空気中の濃度のみ”規定しており、
ISO14644-9では”表面付着粒子”の規格には関連があるが、色々な要因で1対1の関係で規格を定義できない。
と定義づけできます。
SCPの概念について
「気中パーティクルのみの管理では実際の付着粒子を管理するには不十分」
という観点から制定された規格が、SCP(surface cleanliness by particle concentration) です。
この規定では、気中パーティクル濃度の影響以外に例えば、「物質の摩擦」「劣化」または
「気流状物質と表面との化学反応」「個体または液体生成物の生成に起因する粒子」も含んでいます。
ISO 14644-1と14644-9の関連付けについて
ISO14644-9;2012には、測定時間(落下塵カウンターの場合はウエハでのサンプリング時間)の
規定がありません。これは、表面清浄度を最終的な結果で判定する規格となっているためです。
14644-1と14644-9を関連付けするためには、以下の手順が必要です。
① ウエハでのサンプリング時間を決める
② 落下塵カウンターでの測定値のデータ取りを行い統計的なデータに基づいた
規格値を決めSCPクラスを決定する。
ただし、付着率や気流の影響などで同じISOのクラスでもSCPクラスが異なる結果になる可能性はあります。
▲ISO14644-9:2012
クリーンルーム及び関連制御環境に関する選択したSCPクラス
表の値は、考慮対象の粒径以上の1平方メートル(1㎡)の表面積あたりの関連粒径の
粒子濃度(CSCP;D)とSCPクラスである。カッコ内の数字は、対応する粒径を分類目的には
使用しないことが望ましい。分類には別の粒径を選択する。
試験のための最小表面領域は、検討対象の表面を統計的に代表するものであることが望ましい。
(備考) 低次のSCPクラスの分類には、有意な値を確定するため多くの測定が必要となる。