クリーンルームでの
パッケージエアコン使用における4つのポイント


クリーンルームでエアコンを稼働すると問題が?
ものづくり現場の工場内に設置されているクリーンルームでも、暑さの影響からエアコンを稼働させ、適温を保っているのが通常です。
しかし、後付けで設置した比較的清浄度が高くない簡易クリーンルームでは、エアコンを稼働するとゴミ・異物付着が増え、問題となるケースが多いようです。
エアコンにはフィルターが付いているのに一体どうしてでしょうか?
パッケージエアコンがゴミ・異物不良を増やす原因とは
夏の現場で快適に作業を行うためにエアコンは欠かせません。
クリーンルームでも同様ですが、全てのクリーンルームが「クリーンルーム用エアコン」を導入しているわけではありません。
特に清浄度の低いクリーンルームでは、パッケージエアコン(PAC)や壁付けのエアコンを使用している場合が多く見受けられます。
ご自宅や職場のエアコンの掃除をして「フィルターが結構汚れているな」と思ったことはありませんか?
PACや通常のエアコンのフィルターの性能は、クリーンルームで使用するには不十分です。
パーティクルを除去する機能がないからです。
「フィルターはあってもパーティクルの除去はできない」ことを覚えておきましょう。
補足すると、PACに組み込まれているフィルターは「粗フィルター」と呼ばれ、繊維異物など比較的大きなゴミ・異物をキャッチするものです。
クリーンルーム専用エアコンに組み込まれている微少なゴミ・異物を捕集できるものではありません。
そのため、クリーンルームで管理する微小粒子を除去できないのです。
PACが引き起こす環境汚染の度合い
エアコンから排出される気流の中のゴミ・異物によって、空間がどのくらい汚染されるかの汚染度合いを計測した実験があります。
その実験は、エアコン運転時に汚れている粗フィルターのホコリやゴミなどを強制的に除去する条件で実施され、以下のような結果が得られました。
【結果①】
| 瞬間的な様子 | その後の様子 | |
| 0.5μmのパーティクル | 500万個/cf(※1・2)を超えるパーティクル量 | 100万個/cf(※3)を下回るまで概ね40分程度 |
| 5μmのパーティクル | 50万個/cfを超えるパーティクル量 | 1万個/cfを下回るまで概ね20分程度 |
※1:/cf(きゅーびっくふぃーと)とは1立法フィートを表す。1辺が1フィートの立方体の体積で、約28.3L相当。
※2:500万個/cfとは一般工場環境程度
※3:100万個/cfとは一般事務所環境程度
【結果②】
さらにこの実験では、吹き出し口から1m地点と10m地点で同時に測定を行い、パーティクル濃度がほとんど同じであったことから、空間全体が汚染されたことが明らかになりました。
この結果より、以下のことがわかります。
- PACにはパーティクルを除去する機能は備わっていない
- PACで捕集できなかったホコリや異物が、排出される気流に乗って空間全体を汚染する
- 収束するのに約40分かかる
PACとうまくつきあう4つのポイント
真夏の必需品であるためPACを含めたエアコンの使用を制限することは現実的ではありません。
しかし、上記の実験から、拡散されたゴミ・異物が収束するまでに1時間程度かかることがわかっています。
そこで、PACを使用しながらなるべく発塵を押さえ、製品への異物付着を防ぐ4つの方法をご紹介します。
①粗フィルターの定期的な清掃
掃除機でホコリを吸い込み、水洗いしてこびりついたホコリを確実に除去します。
フィルターの汚れ具合は環境によって異なるので、自社環境にあわせて清掃頻度を決めましょう。
②PACの気流動線上に製品を放置しない
気流があたる場所に製品を置くと、気流に乗ったホコリが付着・堆積します。
数分ならば大丈夫と思っても、ゴミ・異物が付着するリスクを少しでも減らすためには気流の動線を確認し、直接風が当たらない場所へ製品を移動しましょう。
やむを得ず気流があたる場所に製品を置く場合は、カバーをかけるなどホコリやゴミ・異物を付着させない対策が不可欠です。
③エアコンのリターン側に発塵源を近づけない
エアコンが室内の空気などを取り込むリターン側(吸気側)に段ボールや備品などの発塵源があると、空間中にホコリを拡散させるリスクが高まります。
クリーンルーム内の作業レイアウトを見直しましょう。
④作業レイアウトを変更する
PACからの気流による異物不良の影響を受けないように作業レイアウトを変更しましょう
(参考文献:園田信夫「クリーンルーム作業員教育と維持・日常管理」技術情報協会)
PACはクリーンルーム専用エアコンではないため、管理には注意が必要です。
しかし空気の流れは目に見えないため、効果的な対策を実施するのは難しいものです。
しかし、解決策はあります。
「気流の見える化」が有効です。
気流を可視化することで、より確実に異物付着リスクを低減できる対策が可能となります。
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