クリーンブースとクリーンルームの違い
「クリーン環境」には一般的にクリーンルームやクリーンブースが含まれますが、その選択肢は多岐にわたります。
しかし、どの構造や方式を選べば良いのか迷い、結局「業者に任せるしかない」ということはありませんか?
自社に最適なクリーン環境を構築するためには、クリーン環境の種類とその違いについて理解することからはじめていきましょう。
クリーンブースとは?
クリーンブースは、部分的なゴミ対策に、コストを抑えて効果的な清浄環境を提供することが可能です。
一般的な構造は、アルミニウムフレームにシートで囲み、その中にフィルターユニットを取り付ける形です。一部の作業スペースを特定してクリーン化するため、効率的なコスト管理が可能です。
クリーンルームとは?
クリーンルームは、部屋全体をクリーンな環境に保つための構造です。
外部からのゴミの進入を防ぐために正圧(陽圧)を持つ部屋を作り、空気の循環によって清浄な状態を保ちます。
クリーンルームは、製品の品質を保つために高い温湿度のコントロールも可能であり、JISなどでクリーン度を規定する指針が存在します。
クリーンブースとクリーンルームの違い
用途の違い
クリーンブースは一部の局所的なクリーン環境を提供するために使われますが、クリーンルームは部屋全体をクリーンに保つために使われます。
コストと効率
クリーンブースは特定の作業箇所だけをクリーン化するため、コストを抑えながら効果的な清浄化が可能です。一方、クリーンルームは全体をクリーンに保つため、設置および運用コストが高くなる傾向があります。
スペースの制約
クリーンブースは特定の作業箇所に設置されるため、空間の制約が少ないです。一方、クリーンルームは部屋全体を必要とするため、広いスペースが必要です。
温湿度のコントロール
クリーンブースは独自の空調設備を持たない場合が多く、温湿度のコントロールは限られます。一方、クリーンルームは高度な温湿度のコントロールが可能です。
クリーンルーム設置の注意点
クラス1000~100000のクリーンルームは希釈による清浄化メカニズムのため、換気回数で定義されています。施工時には換気回数を確認しましょう。
換気回数を計算する際の注意点としては、フィルターユニットからの吹出し風速が最大0.5m/sec以上にならないようにする事をお勧めします。
吹出し風速が強い場合は、気流の乱れが大きくなる事を考慮する必要があり、ゴミの舞上りが起きないようにするなどの工夫が必要になる場合があります。
クリーンブース設置の注意点
クリーンブースは、クリーンルームまでの環境は必要ない、作業する箇所だけゴミ対策をしたい、コストも抑えたい、と言ったニーズに応えるクリーン環境です。
但し、一般的なクリーンブースの構造は、ALフレームなどをシートで囲いフィルターユニットを取り付けたものですので、あまり大きな物は却って割高になってしまうことや、空調の設置ができないため、発熱量(人員、設備など)が多いと作業に支障が出るほど室温が高くなることがあり注意が必要です。
また、フィルターユニットから出た空気をそのまま外部に流す場合が多いので、フィルターユニット直下の綺麗な空気を導き、有効活用するレイアウトが大切です。
クリーンブースでもパネル式で完全に気密を確保し、正圧化が可能な状態につくることもできます。
この場合は、空調も設置可能でクリーンルームと同じだと考えて良いでしょう。
選択肢の幅を広げるために、自社のニーズや製造環境に合わせて、クリーンブースとクリーンルームの選択を検討しましょう。
どちらの選択肢も、製品の品質向上と効率化に貢献する重要な要素となります。
クリーン環境の構築に関するご相談はお気軽にお問合せください。