工業用洗浄剤と環境問題・法規制について
環境問題、作業環境改善、SDGs・・・洗浄剤に関わる法規制
過去の法改正事例や注意点の一例を紹介
洗浄剤には様々な種類がありますが、それぞれの内容成分や物性により、法規制の対象になる場合があります。関連する法律の主なものは以下の通りです。
- 大気汚染防止法
- 水質汚濁防止法
- 消防法
- 労働安全衛生法(有機溶剤中毒予防規則など)
- 毒物及び劇物取締法
- 化学物質管理促進法(PRTR法)
洗浄剤を使用する上の注意点
洗浄剤を使用する前に、検討中のものに関して成分の調査や所在地の市町村の条例を確認することが重要です。
例えば、
水系洗浄剤を使用する場合
複数の化学薬品が含有されている場合が多い為、それぞれの成分の調査に時間が掛かる場合があり、余裕を持った確認が必要です。
洗浄液の廃液の排出方法や管理方法について
水質汚濁防止法の排水基準は年々厳しくなっており、定期的に確認して対応する必要があります。また、市町村で独自の条例を設定している場合もあります。
消防法に該当する引火性洗浄剤について
管轄する消防署によって指定数量などの見解が異なる場合もありますので、新たに危険物に該当する洗浄剤を使用する洗浄機を導入する場合は、早めに管轄する消防署に届出や確認をすることをお薦めします。
法改正の事例
洗浄剤には、法改正によって「これまで使えていたのに使えなくなった」「これまでより管理方法が厳しくなった」といったケースがあります。
洗浄剤が使えなくなってしまうケース
フッ素系洗浄剤「フロン」はかつて広く使用されていましたが、オゾン層を破壊することが判明し、地球温暖化対策の観点から規制されました。その後も、フロンの代替品が発明されましたが、現在のフッ素系洗浄剤に至るまで様々な規制がありました。
塩素系溶剤が有機則から特化則へ改正されたケース
2014年11月より、ジクロロメタン・トリクロロエチレン・テトラクロロエチレン等の塩素系溶剤が、発がん性の危険があることから有機則から特化則へ改正され、管理・使用措置が変更になりました。
現在問題無く使用している洗浄剤も、近い将来には規制や法改正によって使えなくなる・管理が厳しくなる可能性があるものも存在します。
さらに、近年は持続可能な社会の実現に向け、各会社様におきましてはSDGs目標を掲げて改善に取り組まれていることと思います。
そのため、昨今は環境・人体への影響が少ない「炭化水素系洗浄剤」への切り替えがトレンドとなっています。
炭化水素系洗浄剤の特徴は、大気汚染防止法対象物質非該当、有機則非該当、PRTR法非該当、もちろん特化則にも非該当ですので、毒性・環境関連に関する法規制の適用を受けることがありません。そのため、各事業所様においては取扱いに関する作業負担が軽減されます。
弊社では、塩素系溶剤を使用されているお客様へ代替できる洗浄剤や洗浄システムの相談を受け付けております。
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