炭化水素洗浄剤の特徴と洗浄方法

炭化水素洗浄剤の特徴と洗浄方法
炭化水素洗浄剤の特徴と洗浄方法

環境に優しく、現在主流の洗浄剤
「炭化水素洗浄剤」について解説

金属部品の脱脂洗浄用途で、塩素系溶剤の代替として広く使用されるようになってきています。

炭化水素洗浄剤は原油由来の物質であり、炭素と水素からなる化合物ですが、大別すると「ナフテン系」と「パラフィン系」があります。ナフテン系は洗浄性に優れ比較的安価で購入できるものの、臭気が強く作業環境の問題から洗浄作業現場ではあまり使用されません。

 

そこで、現在メインになっているのがパラフィン系です。パラフィン系も主に2つに分けられます。

パラフィン系炭化水素洗浄剤の種類


ノルマルパラフィン系

単一物質であるため蒸留再生時のリサイクル性が高く、臭気も少なく性能面では申し分ないですが、イソパラフィン系より高価

イソパラフィン系

比較的安価で臭気は少ないものの、洗浄剤の沸点範囲が広くノルマルパラフィン系と比較するとリサイクル性が少し劣り、廃液量が多くなります。

ただ、NCCオリジナル『炭化水素系洗浄剤 NCゾール』は、イソパラフィン系洗浄剤でありながら沸点範囲が狭くリサイクル性に優れ、尚且つ臭気が少なく安価な洗浄剤です。

 

蒸留再生効率もノルマルパラフィン系と同等であるため、洗浄品質を維持したままランニングコストを下げることが可能です。

 

炭化水素系洗浄剤「NCゾール」についてはこちら

詳細はこちら-洗浄

炭化水素洗浄剤のメリット・デメリット


  • 【メリット】
  • 各種の加工油に対する洗浄性に優れる
  • 毒性が低く、人体に対して優しい
  • 金属に対して錆びや腐食などのリスクが低い
  • 蒸留再生が可能で、ランニングコストを低く抑えることができる
  • 洗浄装置をコンパクトに設計することが可能
  • 大半が有機溶剤中毒予防規則に該当せず扱いやすい
  • 【デメリット】
  • 樹脂やゴムの種類によっては、溶解や劣化などのリスクがある
  • 引火性があり危険物のため、作業上の安全配慮が必要
  • 引火性があるため、洗浄装置は防爆型の仕様が必要
  • 洗浄装置価格が高価

炭化水素洗浄剤を使用した洗浄方法


炭化水素洗浄には様々な方法がありますが、真空技術を併用した洗浄方式が主流となっているため、ここでは真空ベーパー洗浄乾燥システムについて解説します。

 

一般的な洗浄方法として今回は3槽式での洗浄方法を紹介します。

1槽目

製品に付着した汚れを落とす為に浸漬超音波に揺動を加え洗浄します。

2槽目

第1槽で洗浄した製品のリンス洗浄を行うために浸漬超音波に揺動を加え洗浄します。

3槽目

真空ベーパー洗浄乾燥を行います。洗浄槽内に製品を投入したのち、蓋をして洗浄槽内を減圧していきます。そこへ気化した洗浄剤の蒸気を当てる事で蒸気が製品へ結露し、表面に付着した汚れも洗い流しキレイに仕上げます。

この時の蒸気温度は90~120℃程度です。加熱された蒸気を製品へ当てることで製品が温められ、この予熱を併用しながら洗浄槽内を減圧すると製品表面に付着した洗浄剤は突沸を起こし乾燥します。

 

これは、減圧することで洗浄剤の沸点が下がることを利用した乾燥方式です。また、真空蒸留再生機も併用することで洗浄剤を常にリサイクルし使用します。

 

洗浄剤の消費も少なく、環境にも優しい洗浄方式として導入される企業様も増えています。さらに洗浄度をあげたい場合は、1・2槽目を真空浸漬超音波へ変更し、真空+復圧を繰り返すことで隙間や止まり穴等の洗浄も可能になります。

 

さらに、弊社では洗浄能力と異物除去能力が高い特許取得の洗浄方式を採用した「ACSys」を開発しています。厳しい品質要求に答える最新の洗浄機の実力はこちらで紹介しています。

 

低コンタミ炭化水素洗浄システム「ACSys」について

詳細はこちら-洗浄

炭化水素洗浄剤の安全性について


塩素系溶剤等は環境問題の点から、労働安全衛生法やPRTR法などの方規則を遵守する必要がありますが、炭化水素系洗浄剤にはこれらの法律で規制されている物質はありません。

 

引火点があるため、消防法乙種四類危険物(引火性液体)の第2・3石油類に該当します。使用する場合は、管轄の消防署への確認が必要で、洗浄を目的とする設備の設置は基本的に防爆構造にすることが望ましいです。

加熱等により液温が引火点以上になると、火種があれば引火する可能性があります。水に不要のため、万が一火災が起きてしまった場合の消火方法は、泡・ハロゲン化物二酸化炭素・粉末消火器などが有効です。

弊社はこれまでの経験や知見に基づき、お客様毎に最適な洗浄剤を各メーカーの中から選定する事が可能です。
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